プロゴルフの興行

今人気絶頂のJLPGA(女子プロ)からGMOが撤退する。
インターネットの無料中継が出来ないからだ。GMOはインターネットの会社として無料中継して自社の強みを出したかったのだろう。 一方でJLPGAはインターネットの「有料放映」は認めている。それらは既存テレビ局に忖度した内容だ。

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そもそも、今までのゴルフ中継はJLPGAに著作権が無かった。外国と違い、広告代理店とテレビ局主催で行われてきた日本のゴルフ中継は、 協会自体の試合なのに著作権が無いのでJLGAは映像が使えない。 過去の試合の様子も使えず、過去の試合映像は全てテレビ局の物。

小林浩美会長は、来季2022年から放映権はJLPGAに帰属すると、トーナメントを主冠する各スポンサーとテレビ局に宣言している。
それならば今までの様に、カメラや音声や中継を出して、テレビ局は自ら番組を作り、放映する事はしないだろう。

今後、トーナメントの冠スポンサーは、TV中継するのか、NET配信するのか決めなければ・・・。また自分達で中継・放映スタッフを用意して、更にテレビ放映したければ、テレビ局に多額を払い放送権(放送枠の買取)を買う事をしなくてはならない。

今後は、広告代理店とテレビ局に放映権は無くなってしまうが、 それでも何とかテレビでの中継を継続してもらいたい。インターネットで無料配信するとテレビの視聴率が落ちるのは確実。 だからネットは有料配信のみにする。辛酸をなめるテレビ局に対する、小林会長の配慮なのだろう。

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賞金総額3億円というビッグトーナメントの「アースモンダミンカップ」はスポンサーの考えでインターネット有料配信のみでテレビ中継は一切しなかった。
今後は試合を主宰する冠スポンサーの意向が、トーナメントの中継に反映されるのだろう。
でも協会の本音は既存放送メディアにも今までどおり放映もしてもらいたい。
それでも試合興行の映像著作権というJLPGAの既得権は確保したい。JLPGAの小林会長も迷っているようだ。

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テレビの視聴者が減少している現在、スポーツ中継は大きな過渡期に来ている。 昔は夜7時に4チャンネルで定番であったプロ野球ジャイアンツ中継も地上波から消えた。
ホームゲームはBSの無料放送でも見られるが、アウェー戦までテレビで見たければCSの有料放送に入らなくてはならない。

中継が無くなり明らかにジャイアンツファンは減ったと思う。それでも日本のプロ野球はトータルでファンが増えている。 野球人気をジャイアンツに頼るのではなく、他球団のファンが増えたからだ。 札幌・福岡・仙台。球団が移転し地元のテレビ局が中継してくれる。ジャイアンツ戦中継は減ったが、他球団のテレビ中継は明らかに増えた。 でもこれは例外的な話・・・・

やはり視聴機会が減れば、スポーツの人気は継続できない。

女子のサッカーワールドカップで日本が優勝した時、大フィーバーだった。 しかし今でも女子サッカー見て、現役選手の名前言える人はどの位いるのだろう?

日本開催のラグビーワールドカップは連日テレビ放送された。 当時ラグビー人気は凄まじかった。今、ラグビートップリーグに所属するディビジョン1の所属12チーム中、2チーム以上チーム名言える人は何人いるのか?

ワールドカップはテレビの地上波で強制的に放送してたから皆が見ていた。 もし、CSの有料放映しかないなら国民は見ただろうか?
無料でもインターネット放映のみだったら?YOUTUBEを開けば他に観る物がいっぱいあるのに・・

観る側にとって、コンテンツを選択するとき、辿り着くまでに幾つかのハードルがあれば、なかなかたどり着かない。 分かりやすく言えば・・・

「無料の地上波TV放送以外でのスポーツ中継は、BS/CSであれ、ネット配信であれ、既存のファンしか観ない。」

昔は4チャンネルでジャイアンツ戦を老若男女観ていたけど、地上波で放送無くなった現在もジャイアンツ戦を観てるのは、「野球ファンだけ」という事。

放送コンテンツを選択できる状況にしてしまうと、ファン以外は自ら進んで選択はしてくれない。
視聴者は好きな物しか観ない。知らないコンテンツは興味が無いし、観ること自体が時間の無駄・・・
結論として、「スポーツはTVなどで強制的に放映し、閲覧できる状況にしないとファンは増えない」

スポーツ団体の継続・拡大には、オワコンと言われるテレビでも、スポーツ中継では、いまでも大きな役割があるのだと思う。

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最後に大事な事を書きたい。。。。

テニスの世界プレーヤーである錦織圭と大坂なおみをスポンサードしていた 「日清食品」が彼らからのサポートを撤退する。 スポンサーを降りる本当の理由は分からないが、最近は怪我や試合の出場辞退で、メディアの露出は明らかに減った事は事実。 選手をスポンサードする広告企業は、選手が露出しないとスポンサードする意味が無い。

プロゴルファー各選手たちにとっても、企業スポンサーは生活の糧になっている。 個人に付いているスポンサー契約は試合での獲得賞金の何倍も大きい場合がある。

もしプロゴルファーでスポンサードする企業が離れたらどうやって生活していくのだろう? トーナメントプロゴルファーは年間の遠征費は1500万近くかかる。シード権の獲得賞金とほぼ一緒。来年のシード権をとっても、スポンサーがいなければ、獲得賞金は全て経費で消えてしまう。

ゴルフトーナメントがテレビ中継されなくなり、インターネットの有料放映のみになり、新規のゴルフファンが増えなくなった場合、どれくらいのスポンサー企業が今までの様に選手をバックアップするだろうか?
ネットに移行するのは自然の流れだが、スポーツの配信はどうなるのか?という本流を掴めないこのタイミングでテレビを切り離していいのだろうか?

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アメリカのゴルフ団体が成功しているのは、ゴルフ中継がテレビではなく、インターネット中継だけになってもPGA自体にWEB放映チャンネルがある。ゴルフを観たい人はそこへ行けばいい。元々アメリカの放送は電波ではなく、ケーブルテレビが主流。 ネット環境になっても同じケーブル配信だから、ネット中継でもケーブルテレビでもテレビ画面で観るので違和感が無い。

そもそも日本のゴルフ団体(JLPGA)にはWEBで放映すべきチャンネルがまだ無い。 テレビ中継が無いときに、ゴルフ中継をWEBで観たい人はどこに行くか迷ってしまう。 各試合のそれぞれのスポンサーのWEBページに行かないとトーナメントが見られない。

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ゴルフ中継コンテンツの魅力を考える時に、もう一つ大きな問題がある。

去年より女子トーナメントの試合は、協会員(プロテスト合格者)しか出場できなくなった。 限られた出場枠にJLPGA協会員だけが出られるようにして、協会員の既得権益を守るための施策だ。
これでは今までスポット参戦していた外国選手は出場できない。
出場できないのであれば、韓国・台湾・オーストラリア含めて諸外国のプロゴルファーにとって JLPGA(日本のトーナメント)は興味の対象にならない。 更には自国の選手が出ないスポーツ中継は、外国で放映される事は永遠に無いだろう。 他国のレベルの高い選手が日本のトーナメントに参加したいと思う状況は皆無になる。
プロの試合興行としてこれでいいのだろうか?
他国籍の選手を受け入れ、激しい競争でゴルフ自体のレベルアップを図る他国の競技団体とは異なり、 JLPGAは日本人だけの小さい箱庭で行う競技団体になる気がする。まさに井の中の蛙・・・

試合数や賞金なら日本のツアーも負けてないのに 畑岡奈紗・渋野日向子・古江彩佳・笹生優花。世界で戦える本当に強い選手は、 苦労も多いアメリカツアーへ行ってしまう。
一流日本人プレーヤーですら退出してしまうスポーツ興行のやり方に未来はあるのだろうか?

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JLPGAは他国の様に、「トーナメントの放映権」という既得権益を主張するのも一切構わないが、 その上で犠牲になるものを出来るだけ少なくする施策や、未来への展望に導く為の、協会のインフラが明らかにまだ整っていない気がする。

テレビ中継も減り、インターネット中継は有償になり、一流選手は外国に流出して、どうやってプロゴルフ興業の閲覧数を増やすというのか? 「競技内容(いわゆるコンテンツソフト)させ良ければ視聴者は見てくれる」 と本気で思っているのだろか?
世の中には良い商品でも売れないものは沢山ある。
商品力と発信力(マーケティング)のどちらも必要という事が分からないのだろうか。

協会は組織のマーケティング力が明らかに弱い。 今ある現実の課題だけを解決することが精一杯で、本当に未来永劫をみているのだろうか?
これだけの改革を行うなら、場当たり的に動くのではなく、想像力を働かせて、慎重に行うべきだ。
JLPGAも今の人気は一過性の物と気を引き締まるべきだ。

男子ゴルフは、団体と選手のそれぞれが既得権益を求めて、PGAとJGTOに分裂した。 今では多くのスポンサーも離れ、試合数が激減し、テレビ放映も満足にされない。

広い視点と、先見の明と、グローバルに考えて欲しい。

スポーツは視聴者やプレーヤー等のファンがあって成立する。ファンが多いほどスポンサーが付く。スポンサーが増えれば団体が潤う。 プロ協会が率先してやることは、どうすればファンが拡充するか考える事。
団体や協会員の既得権益を守る事が本来の組織の役割ではない。

日本のプロゴルフの興業は危機的な状況になる気がしている・・・



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2021年12月28日付

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