ゴルフスタジアム問題
ゴルフスタジアム問題を知っていますか?
知らない人はWEBで調べてみればすぐ出てきます。
かい摘んで言うと
「プロゴルファーやゴルフ工房やゴルフショップに、ゴルフスタジアムという会社が、スイング分析ソフトを1本100万近くでローン販売した」という事案なんです。
但し、販売する方法が特殊でした。
ゴルフ関係者の多くは100万円のソフトを買えるほどお金がありません。
そこで考えたのが、
1、ゴルフスタジアムがプロゴルファー等に無料でホームページを作ってあげます。
2、そのホームページにスポンサー企業の広告を貼って下さい。
3、広告の掲載会社はゴルフスタジアムで営業して取ってきます。
4、毎月数万円の広告掲載費用をプロゴルファーへ支払います。
5、その広告収入分をソフト購入のローン代に充てられますよね?だからソフト購入してください。
という物です。
プロゴルファー達は、自ら営業しなくても、「自分のホームページを無料で作ってくれて、ゴルフソフトが手に入る。そしてローンが終わった後は、広告費用が収入にもつながる」
と信じた訳です。
まあ、美味しいお話ですよね。自分は何もしなくて、ホームページ・広告収入・ゴルフソフトが手に入る訳ですから。
結局どうなったか?
ゴルフスタジアムより広告主が見つからずに広告費用が払われなくなりました。購入者はソフト購入のローンだけが残りました。
プロゴルファー達は弁護士を雇い「ゴルフスタジアム信販問題被害者の会」発足させました。
理由は・・・
このような商品を売ったのは「ゴルフスタジアム」だけではなく一緒に販売に加担した「信販会社にも問題もある」というものです。
「収入が少ないプロゴルファーへ、この未熟なビジネスモデルを元に数百万も信用貸しした信販会社への返済義務は無い」という弁護士の見解です。
被害にあったプロゴルファー達が弁護士へ会費を払って参加しているようです。
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このブログはゴルフ社長ブログですので、企業経営者としての見解を言いましょう。
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まず、この販売スキームは上記 「1-4」 と 「5」は別物だという事。
「1-4」は広告収入の案件。5はソフト購入の案件。
セールス的には同一に扱ったようだが実際は全く別物。
信販会社が信用契約販売したのはソフト販売のあくまで「5」の部分。
仮に「1-4」のビジネス部分を信販会社が知っていて契約させたとしても、ローン契約条件にその条項が入らなけば、
ソフト購入に関しては信販会社と契約者と直接契約であり広告収入案件は購入条件に一切関係ない。
広告ビジネスが破綻してもソフト購入事実がある以上、支払い義務は当然残ります。
もう一つ。
被害者達が「購入したが支払いが不可能なので裁判を起こす」という愚策は百害あって一利なしです。
今回の事案は、信販会社から頼まれて「どうかお願いします。当社からお金を借りて下さい」と言われたわけではないですよね。
元々支払うお金が無いから信販会社に「お金を貸してください。私の代わりに商品代を支払って下さい。その代わり月賦で返します」というのが信販会社との契約。
このビジネスに参加したくて、頭を下げて信販会社にお金を借りた人達が、支払い不能になったら、手のひらを返して「支払い義務は無い!」と信販会社へ開き直っている。
なんとも情けない・・・
幼稚と言うか・・・・・
世の中知らないというか・・
騙された人には気の毒にも思います。でも元々は自分たちの私利私欲
通常で考えれば、このビジネスモデルは破綻しますよ。
現在はどの企業も広告費用削減しているのだから。
ましてやホームページも作れないない貧乏なプロゴルファーやゴルフショップですから、その顧客やコミュニティーは数十名~数百名の小さい規模でしょう。
企業がそこへ広告出すメリット何処にあるのでしょうか?貴方ならそこにお金払って広告掲載しますか?
冷静に考えればわかる事です。
もう一つ。この裁判は不毛です。
勝てるとは到底思いません。
ところが万が一、勝訴できたとしましょう。
金融機関で要注意人物となりシェアされます。
お金借りたのに理由付けて返済しないのですから。
今後その人達にお金を貸してくれる金融会社はあるのでしょうか?
将来、車買う時も、家を買う時も、ローン会社や銀行を頼らずに現金一括払いで買えますか?
裁判やればお金は掛かります。
結局この裁判勝っても負けても、得な事なんかないんです。
弁護士は当然煽ります。だって自分の仕事ですから。おまけに会員が増えれば会費が増えます。
勝訴しようが、敗訴になろうが、仕事の報酬は結局発生しますしね。
「敗訴したら一切報酬なしのボランティアでやります!」というならまだわかりますが・・・
今回被害にあった人々で裁判する人は、自分達の過失は無く「このビジネスモデルを作ったゴルフスタジアムと、販売に協力した信販会社が全て悪い」というロジックなのですね。
勿論、ゴルフスタジアム側は今後何らかの社会的制裁を受ける事になるはずです。
もしこのビジネスが上手く行くと思ったならゴルフスタジアム側の経営陣は相当稚拙です。
一方で、上手く行かないのを承知で高額のソフト販売をする為の手段として考えたのなら、経営陣がかなり知恵が廻っていたと思います。
「上手くいかないと分かってこのビジネス始めた」のならば実際は詐欺に近いと思いますが、
「上手く行くと思っていたにも関わらず、事業スキームが破綻した」という理由ならば合法です。
確証はありませんが、今回の事案は私は後者よりの演出だと思っています。
ゴルフスタジアムは資本金と資本準備金合せると2億程度の資本があるようです。
自己資金では無いでしょうから各種ファンドや投資家からお金を集めたと思います。
投資家からは経営結果(配当等)を求められます。
当然経営者に焦りはあったでしょう。
ゴルフスタジアムの主な業務はゴルフソフトの開発販売とゴルフスクールの運営です。
私もゴルフスクールを運営しています。個人ではなんとかやれますが、ビジネスで考えると大きく儲かる商売ではありません。
はっきり言って比較的大型のゴルフスクールを数店舗経営しても、億単位のビジネスにはなりません。
従って会社規模に見合う売上を確保するために、ゴルフソフト販売に注力したと思われます。
やり方など構ってられない。とにかく高額で販売して売上を作らなければいけない。こんな状況だったのでしょう。
このソフトを高額で販売する為には、ソフト自体にそれだけの機能が必要です。
しかしこのソフトは残念ながらそこまでの機能を持ち合わせていません。無料ゴルフアプリの延長線程度の機能です。
であるならば機能では無く、ソフト自体に高い価値を付けるしかない。
もう一方の問題で、どのような価値があろうと、このソフトを購入するゴルフ関係者は高額な費用は捻出できません。
そのソフトへの特殊な価値を付加する事と、貧しいプロゴルファー達が購入できるプロセスを可能にする、
素晴らしく考えられたビジネスモデルだったのでしょう。
ゴルフスタジアムは、
機能が少ないこの商品を高額に見せる事。
高額にしても、貧乏なゴルフ関係者が購入したくなるスキームを考えた事。
ビジネスモデルが未来永劫上手く行くかどうかは二の次で、一番大事なのは高額ソフトを大量販売する事。
騙された消費者は、
自分に有利なこのビジネスモデルに対し、不安定で不確定な要素が多すぎたことを全く見抜け無かった事。
双方のこの状態が悲劇を招いたと思います。
私は経営者として、20年間やっていれば騙されたり失敗する事は沢山あります。失った金額も数千万になるでしょう。
取引相手が倒産して多額の買掛を回収できなくなった会社だって沢山あります。
でもそれも自分のミスであり、受け止めなければいけません。他人のせいでは無いのです。
自分の知識の甘さ。先見の眼が無い事。そして後悔を背負いながら、なんとか今の苦境を乗り越えていくのです。
乗り越えた事実が知力や忍耐をつけ、信頼や信用に変わっていく。そして成長していく。
プロゴルファーは個人事業主です。ショップや工房もプロの経営者のはず。
お金が無いのはベンチャーなら皆同じ。私だってギリギリで会社を廻しています。
プロフェッショナルならば辛くても、夢と希望を喰いながら歯を食いしばってやっていく。
苦しい時に運転資金を集めて何とか運営するのがプロフェッショナル(経営者)(プロゴルファー)の仕事なんです。
厳しい言い方になりますが、愛すべきゴルフ業界に携わる人間として苦言を呈します。
ゴルフ業界の人々が、経済界や世の中の常識から見て、自らの責任すら取れない幼稚な集団と見放されないよう切に願いたいと思います。
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2017年6月8日付