ゴルフ場運営企業の上場廃止5
最近、
アコーディアゴルフは、投資ファンドMBKパートナーズの完全子会社になり上場廃止となることを決めました。
この背景には、弱体化したアコーディアゴルフの立て直しがあります。
このままの運営であれば、アコーディアゴルフは消滅する危機を迎えます。
理由は明らかです。ゴルフ場を改装・回収・投資する資金が、全て株主配当に変わってしまったからです。
上場している以上、このスパイラルを変える事はできません。
この呪縛から逃れるのは、上場を廃止して新しいオーナーに支えて貰うしかありません。
問題の渦中である筆頭株主の(レノ)も上場廃止に賛同しました。
このままアコーディアゴルフの株を持っていても、メリットが少ないと思ったのでしょう。
持ち株を全てMBKパートナーズに売却し現金化出来るという、良い引き時が来たということです。
結局(レノ)はアコーディアゴルフの一件で、100億以上の利益を上げる事に成功しました。
ゴルフ場の上場とは何だったのでしょうか?
PGMもアコーディアゴルフも一度は上場しましたが、最終的には上場を廃止してしまいました。
日本の名門といわれる歴史のあるゴルフ場の多くはNPO(社団法人・公益法人等)として運営されてきました。
NPOは利益を出すことができません。従って経費として使い切るか、同法人に再投資されます。
NPO法人のゴルフ場は、売上から経費を引いて、運営上余剰資金が出た場合は、全額をゴルフ場の改善やサービス向上に投資出来るのです。
株式会社方式がゴルフ運営上ダメという訳でありません。
最近では、ゴルフ場自体を株式会社として運営している例は多くあります。
オーナーが株の大多数を保有していれば問題は無いと思います。余った余剰資金はどう使うかオーナーが決めれば良いのです。
同じ株式会社でも、上場企業での運営であれば、経営者以上に立場の強い株主(配当)とゴルファー(ゴルフ環境の改善)との板挟みとなります。
上場企業のオーナーは事実上筆頭株主です。
筆頭株主>経営者>ゴルファー という強弱の図式がある以上、筆頭株主がゴルフ場への投資ではなく、配当を希望すれば結局は従わざる負えません。
PGMもアコーディアゴルフも元々、ファンドがゴルフ場買収手段に作った会社です。
会社ですから従業員には会社経営の理念や、スローガンはあるかもしれません。
しかし経営側は創業時から、ゴルフへの愛や、ゴルファーへの還元などという考えは、事実上皆無だったと思います。
上場後も、企業買収等のM&Aマネーゲームの主人公を演じました。
上場中は、投資家に利益を生み出す手段として、「ゴルフ」というコンテンツが利用され続けました。
特にアコーディアゴルフに関しては、
「各ファンドで市場内でのマネーゲームの対象にされ」
「利益を吸い取られ」
「最終的に企業が弱体化してしまった。」
株式の上場は事実上の敗北であったと私は思っています。
ゴルファーの利益と、株主の利益の両立は、「不可能だった」という事なのだと思います。
これからアコーディアゴルフは、新しいオーナーの元で再出発を図ります。
ゴルファーにとって、日本のゴルフ界にとって、夢のある企業になる事を切に願っています。
追伸::
MBKパートナーズの創業者は、元ゴールドマンサックス出身です
まだ、ドラマは終わらないような気がしますが・・
今回はこれにて終了 次回へ
2017年2月26日付