技術は想像(創造)すれば叶う
私がゴルフビジネスに参入したのは今から約10年前。
ゴルフシミュレーターを見てからです。
「インドアでもクラブを振ってリアルにゲームができる」カルチャーショックを受けました。
元々は、日本で開発していた技術のようですが、韓国の企業がその開発を引き継ぎ実用させたようです。
投資金額は相当かかったでしょう。日本では1年中ゴルフが出来るので、バーチャルゴルフが流行るか分からなかったと思います。
一方で韓国では全土で雪が降りますので事実上冬にゴルフが出来ません。
ですから「冬にゴルフをしたいプレーヤーはバーチャルでも少なからずいるはず」という発想だったのだろうと思います。
ゴルファーにとっては夢の様な機械が完成し、「ゴルフバー」という店舗の展開が日本でも始まりました。
しかし機械が高すぎました。1台500万円以上。設備投資を回収する為に店舗側はプレー代は1時間5000円!という高額設定。
最初は皆珍しくて行ったものです。しかし実際のゴルフ場で平日1日5000円強でプレー出来る時代にバーチャルで1時間5000円・・・
ブームは3年程度で収束してしまいました。
私はこのセンサーで練習場を作りました。しかし店舗は9打席。9×500万、センサーだけで4500万の投資が必要です。
当時は、センサー付きのインドアゴルフ練習場はありませんでした。銀行に融資を頼むにも前例も実績もないので、机上の空論状態。
当然融資の許可は下りません。
仕方なく代替品を探します、アメリカのセンサー会社が機能が少ないセンサーをアメリカ本土のみで1台数十万で販売していました。
私の拙い英語を使い、メールと電話で必死に交渉しました。
まだ日本に上陸していないという事で、30台近く輸入する条件で日本での販権を手に入れました。
自分のお店で使うのは9台。予備を考えても残りのセンサーは不要です。
翌年ゴルフフェアーに出店してセンサーを販売開始しました。当時は安価で話題を呼び、結局日本全国で数十台売り歩きました。
しかし、私の販売したセンサーは機能が限定されています。
500万のセンサーに比べると、私の欲求を全て満たす機能はありませんでした。
当時は私が販売するセンサーに対する要望が多かったのですが、割安なアメリカのセンサーですから顧客のニーズを満たすほど完璧ではありません。
英語を日本語化したり、本格的な販売網を拡げるような投資はしませんでした。
改良すればもっと売れたかもしれません。
しかし技術は進歩します。センサーもいつか陳腐化する事も分かってました。数年間で投資分が回収できると思えなかったのです。
韓国も日本もアメリカも、今後必ずもっと良い機械が出てくると思ったからです。
10年経った今は、多く企業から素晴らしいゴルフセンサーがいくつも出ています。
技術の進歩は早く、10年前に500万だったセンサーよりも高性能で小型化したものが1台20万程度で購入できます。
店舗のような商用利用だけではなく、天井が高ければ自宅にも設置できます。
お笑いBIG3タレントのご自宅にも設営に伺った事も有ります。
ゴルフセンサー技術の向上は私の想像をはるかに超えるスピードで進化し続けました。
たった10年で考えられない世界が現実に変わっていくのです。
話は変わって
ゴルフ場では経費削減と省力化の為に、ゴルフキャディーが少なくなりました。
ゴルフカートが普及した事もありますが、プレーヤーは少しでも安くプレーしたいので、
キャディーを付けないでセルフプレーする事が多くなったからです。
そこで困るのが距離計測です。
キャディーがいれば「ここから(ピンまで)何ヤード?」と聞けば良いのですが、
キャディーがいなければ自分で計測するしかありません。
カーナビの様にGPSを使い、ボールの位置からグリーンの位置まで距離を計測する腕時計型の機械が出てきました。
もう一つは、双眼鏡を覗くとレーザー光を発射し、距離を計測する機械も出ています。
双方とも誤差精度が1~3m程度と非常に精密に出来ています。
10年前にもこの技術はあったとは思いますが、とっても高価な技術だったと思います。
それが現在は、量販できることで1個10,000円程度で手に入ります。
ゴルフ場には大型の芝刈り機があります。全て人間が運転して18ホールの芝を刈らなくてはいけません。
しかし単純ではありません。ゴルフ場には池もバンカーもあります。
さらに、フェアウェーやラフやパッティンググリーンでは刈り高が異なります。
一番の問題は、コースメンテナンスする為の仕事人がいなくなっている事です。
そこで無人芝刈り機の登場です。
GPSを使い無人で運転しバンカーや池を避けます。
芝の刈り高もコンピューターに入力すると状況を考えきちんと別けて刈ってくれるようです。
これならば人手不足も解消できます。
ゴルフは単純に自然の中でボールを打って歩くスポーツです。やってることはITや技術とは無縁のアナログ行為です。
しかしゴルフ場を運営するにはいろいろな工業製品や技術を使っています。
我々が「こんなのあったらいいな?」「不便に感じる事を解消しよう」とした時に、
その道具や技術は全て実現しています。
ゴルフの世界に限らず新しい物やサービスの開発には困難が付き物です。
しかし現代はAIやITを駆使すれば「想像できれば創造出来る」ような気がします。
私はビジネスや自分の人生においても常々同じだと思っています。
出来ない理由を列挙して(やっぱり無理だな・・・)と諦めるのは簡単です。しかしそれでは何も生まれませんし変わりません。
繰り返す困難に対しても(こうすれば克服できるかも?)とその都度設計図さえ書きなおせれば、最終的には「必ず出来る・達成する」と信じています。
昨今の何でもある世の中では「何が不便なのか?何が不満なのか?本当に必要な物は何なのか?」を気が付く方が難しいのだと思います。
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2017年11月28日付