ゴルフ場運営企業の上場廃止3
アコーディアゴルフが上場廃止した理由の前に、
アコーディアゴルフの発足理由、並びに上場した理由を先に書かなくてはいけないでしょう
日本経済のバブルがはじけた後に、経営に苦慮するゴルフ場が多数現れました。
バブル崩壊と無理な投資が災いし、ゴルフ場開発時の借金返済が滞ってしまった為です。
ゴルフ場開発は特殊な方法で行われました。
高額の会員権を販売します。会員権額面の一部は預託金となり、会員権を購入したメンバーに約10年後に返済の権利が保有されました。 購入者は10年後に、預託金を返して貰う事でメンバーを退会するか、返還を求めずメンバーを継続するか選べるのです。
一方でゴルフ場開発側はこの預託金をゴルフ場開発費用に充てていきました。
当時はバブルの真っただ中で、不動産の高騰が続き、10年後には会員権の転売はあっても、預託金の返還を求める人は居ないと考えていたからです。
そしてバブルは弾けます。ゴルフ場の資産価値は下がり、預託金の返還が殺到します。
預託金をゴルフ場の建設費で使ってしまったゴルフ場開発業者は、当然返済できない状況に陥ります。
借金の返済が出来ませんから事実上の倒産になります。
来場者も多くバブル後も経営努力を積み重ねて黒字経営を可能にしたゴルフ場もありました。 借金の返済ごときで廃業させたくありません。ゴルフ場の開発資金は数百億掛かっています。数百億が荒れ地になるのは勿体無いと誰もが考えます。
そこを目につけたのは外国の投資ファンド、いわゆる「ハゲタカファンド」です。
買収するゴルフ場は、すでに倒産していますのでゴルフ場の債権者(返済義務)もいません。ゴルフ場の価格は二束三文です。
ファンド企業は開発に数百億掛かったゴルフ場をたった数億で買収していきます。
ハゲタカファンドでも、何処の企業でも、 とにかくゴルフ場の運営を続けてくれれば、メンバーはプレー権は保有されますし、従業員の職場も保全されます。
銀行も営業を続けてくれれば担保で取った土地を有効利用できます。廃業して消滅するより、ゴルフ場を存続してくれた方がありがたいという機運もありました。
日本企業はバブル後で、土地やゴルフ場の取得に警戒感が強く、後ろ向きで手が出せません。
外国ファンドのゴールドマンサックスが「アコーディアゴルフ」を、
同じくローンスターが「パシフィックゴルフマネージメント(PGM)」を
ゴルフ場買収+運営企業として発足します。
日本国内で両社のゴルフ場買収攻勢が始まりました。
買収したゴルフ場を予算を掛けてどんどん再生していきます。
倒産する前が黒字のゴルフ場も多かったですし、 赤字のゴルフ場であっても、料理メニューの統一化や、決済システムの共有化など(スケールメリット)を図る事で無駄な経費を削減し、 利益が出る構造に変革していきました。
結局、倒産したゴルフ場を黒字化し再生して、収益を上げる事にも成功します。
また、親会社は元々投資ファンドですから自社の再生したゴルフ場を、
他社に高額で転売して大きな利益を上げる事も可能にしました。
しかし、このビジネスモデルもやがて終焉を迎えます。
両社のビジネスモデルは、倒産したゴルフ場や経営不振のゴルフ場を買収して、自社グループに属していくビジネスモデルです。
国内2400ヶ所のゴルフ場は一巡してしまいました。買収に値する価値の高いゴルフ場は日本にはもうないのです。
ゴールドマンサックスもローンスターも、お金を投資して企業買収し、付加価値の付与又は再生して高値で売却するファンドです。
元々、投資会社なのですから、日本でゴルフ場運営をしたい訳ではありません。
両社は、ほぼ同時に日本撤退を考えました。
日本市場の撤退は、自分達が作った「アコーディアゴルフ」と「PGM」というゴルフ場運営会社の売却を意味します。
しかしゴルフ場を100個以上抱え資産が数百億以上の巨大会社を簡単に売却できるでしょうか?買い手はいるのでしょうか?
両ファンドが選んだ方法は、上場させて一般投資家に買ってもらう選択肢を選んだのです。
見事に上場に成功しました。ゴールドマンサックスは大きな上場利益(キャピタルゲイン)を以て自社が作った「アコーディアゴルフ」を日本に残し、アメリカに帰っていきました。
ローンスターも「PGM」を上場させることで、日本から撤退しました。
(上場後も株の一部をまだローンスターが保有していました)
今ではパチンコ台を作る「平和」がPGMの株主から公開買付(TOB)して上場は廃止されています。 現在「PGM」は「平和」がオーナー企業として運営しています。
一方で、「アコーディアゴルフ」の運命は、ここから大きく揺さぶられていきます。
次回へ続く
2017年2月24日付
アコーディアゴルフの発足理由、並びに上場した理由を先に書かなくてはいけないでしょう
日本経済のバブルがはじけた後に、経営に苦慮するゴルフ場が多数現れました。
バブル崩壊と無理な投資が災いし、ゴルフ場開発時の借金返済が滞ってしまった為です。
ゴルフ場開発は特殊な方法で行われました。
高額の会員権を販売します。会員権額面の一部は預託金となり、会員権を購入したメンバーに約10年後に返済の権利が保有されました。 購入者は10年後に、預託金を返して貰う事でメンバーを退会するか、返還を求めずメンバーを継続するか選べるのです。
一方でゴルフ場開発側はこの預託金をゴルフ場開発費用に充てていきました。
当時はバブルの真っただ中で、不動産の高騰が続き、10年後には会員権の転売はあっても、預託金の返還を求める人は居ないと考えていたからです。
そしてバブルは弾けます。ゴルフ場の資産価値は下がり、預託金の返還が殺到します。
預託金をゴルフ場の建設費で使ってしまったゴルフ場開発業者は、当然返済できない状況に陥ります。
借金の返済が出来ませんから事実上の倒産になります。
来場者も多くバブル後も経営努力を積み重ねて黒字経営を可能にしたゴルフ場もありました。 借金の返済ごときで廃業させたくありません。ゴルフ場の開発資金は数百億掛かっています。数百億が荒れ地になるのは勿体無いと誰もが考えます。
そこを目につけたのは外国の投資ファンド、いわゆる「ハゲタカファンド」です。
買収するゴルフ場は、すでに倒産していますのでゴルフ場の債権者(返済義務)もいません。ゴルフ場の価格は二束三文です。
ファンド企業は開発に数百億掛かったゴルフ場をたった数億で買収していきます。
ハゲタカファンドでも、何処の企業でも、 とにかくゴルフ場の運営を続けてくれれば、メンバーはプレー権は保有されますし、従業員の職場も保全されます。
銀行も営業を続けてくれれば担保で取った土地を有効利用できます。廃業して消滅するより、ゴルフ場を存続してくれた方がありがたいという機運もありました。
日本企業はバブル後で、土地やゴルフ場の取得に警戒感が強く、後ろ向きで手が出せません。
外国ファンドのゴールドマンサックスが「アコーディアゴルフ」を、
同じくローンスターが「パシフィックゴルフマネージメント(PGM)」を
ゴルフ場買収+運営企業として発足します。
日本国内で両社のゴルフ場買収攻勢が始まりました。
買収したゴルフ場を予算を掛けてどんどん再生していきます。
倒産する前が黒字のゴルフ場も多かったですし、 赤字のゴルフ場であっても、料理メニューの統一化や、決済システムの共有化など(スケールメリット)を図る事で無駄な経費を削減し、 利益が出る構造に変革していきました。
結局、倒産したゴルフ場を黒字化し再生して、収益を上げる事にも成功します。
また、親会社は元々投資ファンドですから自社の再生したゴルフ場を、
他社に高額で転売して大きな利益を上げる事も可能にしました。
しかし、このビジネスモデルもやがて終焉を迎えます。
両社のビジネスモデルは、倒産したゴルフ場や経営不振のゴルフ場を買収して、自社グループに属していくビジネスモデルです。
国内2400ヶ所のゴルフ場は一巡してしまいました。買収に値する価値の高いゴルフ場は日本にはもうないのです。
ゴールドマンサックスもローンスターも、お金を投資して企業買収し、付加価値の付与又は再生して高値で売却するファンドです。
元々、投資会社なのですから、日本でゴルフ場運営をしたい訳ではありません。
両社は、ほぼ同時に日本撤退を考えました。
日本市場の撤退は、自分達が作った「アコーディアゴルフ」と「PGM」というゴルフ場運営会社の売却を意味します。
しかしゴルフ場を100個以上抱え資産が数百億以上の巨大会社を簡単に売却できるでしょうか?買い手はいるのでしょうか?
両ファンドが選んだ方法は、上場させて一般投資家に買ってもらう選択肢を選んだのです。
見事に上場に成功しました。ゴールドマンサックスは大きな上場利益(キャピタルゲイン)を以て自社が作った「アコーディアゴルフ」を日本に残し、アメリカに帰っていきました。
ローンスターも「PGM」を上場させることで、日本から撤退しました。
(上場後も株の一部をまだローンスターが保有していました)
今ではパチンコ台を作る「平和」がPGMの株主から公開買付(TOB)して上場は廃止されています。 現在「PGM」は「平和」がオーナー企業として運営しています。
一方で、「アコーディアゴルフ」の運命は、ここから大きく揺さぶられていきます。
次回へ続く
2017年2月24日付