猛烈に働く
先日CSの深夜テレビで「海賊と呼ばれた男」という映画を見た。
仕事をしながらだったが、結局TVに釘付けなった。
出光興産の創業者 出光佐三のストーリだ。
私は金の無い経営者で事業の発展と資金繰りにいつも悩んでいるが、そんなレベルではない。
出光は大企業で従業員が多い。金が無いという事態は私の会社の何倍も深刻。
「半年以内に何とかしないと倒産」というピンチが何回も襲ってくる。その度に銀行や出資者を納得させ交渉してきた。
究極のピンチが訪れる度にルールを破っても新しい活路を見い出してきた。
ネタばれで書いてしまうが、
戦後アメリカの支配下で石油は全てアメリカのメジャーの石油会社に利権を握られる。
日本の石油会社は全てアメリカ企業の傘下になった。
出光は抵抗したが外国の取引先も全て、アメリカの思惑で取引停止にさせられた。
アメリカの石油会社に買収されないと出光は活路を見いだせない。
そこで暗黙の国際ルールを破り、出光興産のたった1隻しかない自社保有タンカー日章丸を、アメリカではなく取引が無い中東のイランに向かわせる。
イランはイギリスの統治下でイランの石油はイギリス以外は自由貿易が出来ない環境だった。
それは貧しいイランの国にとっても貿易制限がある不幸な事実でもあった。
日章丸航行中も勝手にイランと取引すると安全は保証できないとイギリスの軍艦より警告を受ける。
それでも出光は命懸けでイランに向かい石油の輸出を成功させる。
世界中で初めて出光がイランの石油自由貿易の先陣を切る事になった。後に世界中を巻き込む日章丸事件となる
昨今は、アメリカとイランの状況が不安定だ。
しかし安倍総理がイランに飛んで和平の交渉できるのは、
日本はイランにとって自由貿易の救世国だったからだ。
イランの人々は今でも日本に感謝しているらしい。
だから日本がアメリカの同盟国であっても日本からの話には素直に耳を傾けてくれる。
たった1人の日本の実業家 出光佐三の無謀とも思われる判断力と行動力が、もしかしたら世界平和に貢献するかもしれない。
出光佐三とその社員たちはは猛烈に働いた。
石炭の時代には石油が人類の未来を変えると信じた。
戦後は日本の石油産業を守る為、日本のプライドを守る為、連合国支配下の日本で、あらゆる妨害や苦境も乗り越えた。
石油資源の無い戦後の日本で、外国に支配されずに日本人による日本の企業として日本の石油産業を外国から守った。
私にはとても真似できないが、日本人実業家とその社員たちの意地と魂を見た気がする。
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中国では996問題が話題を浴びている。
「朝9時から夜9時まで週6で働く」という意味である。
中国の大手企業のCEOが正当化して問題になっている。
しかし、13億もの人口の中国では常に競争社会にさらされている。だから仕方なく働く。そこで負けたら終わりなのである。
日本人より遥かに働いている。そしてその猛烈な力で世界に向けてビジネスを始める。
その結果どうなったか?
中国はGDPで日本を抜いて世界2位となった。
今は日本製品は中国製品より優れていると思ったら大間違い。
もう今や中国=粗悪品・コピー品ではない。
今は携帯でもPCでも中身はほとんど中国製だ。
中国製の中身でもほとんど壊れない。
大手の中国企業は技術も生産量も取引量も世界のトップにいる。
日本製のメリットは中身は中国製でも外見は日本メーカーというブランド信用力に頼るのみだ。。
もちろん労働者の996を肯定している訳ではない。
但し、その猛烈に働いてきたという事実が中国が世界の頂上に上り詰めるまでの国力の原動力になったことは否定できないと思う。
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甥っ子が先日ニューヨークに帰った。
実は姉が国際結婚なので甥っ子はアメリカ人だ。
ニューヨーク大学に通っている。
綺麗な校舎で高校生のあこがれのキャンパスだそうだ。
写真の建物には吹き抜けがあり蔦が絡まっている。
「素晴らしい建築物だな」と聞いたらそうでなはないらしい。
勉強がものすごく大変で一日16時間勉強しても足りないらしい。
日本の大学とは違い猛烈に勉強しなければ卒業できない。
ノイローゼになってこの建物で飛び降り自殺が何件もあるそうだ。
仕方ないので網を作り、そこに蔦を絡めているのだそうだ。
アメリカではここまで猛烈に勉強をやらないと卒業できない。
そこそこ優秀な学校を出ても、就職も厳しいらしい。
人よりも優れた技術を持っていないと採用されない。
また日本の様に終身雇用制度は無いので、結果を出さないと1年単位でレイオフ(雇止め)される。
社会人になっても常に働き続けて結果を求められ、自分を磨き続ける。
豊かと言われるアメリカでも常に猛烈に働き、厳しい競争社会に身を置かれている。
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日本の高度経済成長期、人口1億人とそこそこの小さな国がGDPで世界2位になる快挙を遂げたのは、
戦後の不便な現状の打破と、未来への希望と、復興を日本人が自らやり遂げるという、日本の底力があったからだと思う。
そのエネルギーは今の日本には見られない。後進国と呼ばれた国々や発展途上国に移っている。
我々は経済大国という国力を手に入れた。その後、汗をせず楽して稼ぐことを考えていないか?
環境を守ったり、生活を豊かにしたり、新しい産業を作る事ではなく、
お金を廻すことが仕事になっていないか?
政府も民間も未来へ向かうよりも、今を守る事に躍起になっていないか?
そのような国々に果たして未来の希望はあるのだろうか。
今やインターネットで同じ情報を何処でも同時に得る事が出来る。
従って先進国も新興国も関係ない。どの国も世界は同じ競争社会にいる事を忘れていないだろうか?
もちろん労働基準法も大事だと思う。
休むことは大事な事でもある。過労死などもってのほかだ
経営者は必要以上に労働を従業員に強制すべきではない。
これは当然である。
しかし労働基準法と無関係の経営者である私が書くと説得力は無いのかもしれないが、
働きたいものは、自分の未来や会社や国や人類や誰かの未来の為に、
なりふり構わず一所懸命働く事を認める文化があってもいいと思う。
それも人間の自由の一部であっていいと思う。
労働基準を国で制御して、
本当に働きたいものが、時間を超えて働くことで罰則まで適応されてしまうこの風潮は正しいのだろうか?
時間以上に働けば電気が消される。残業すればペナルティー。
企業がそれを放任すればブラック企業と揶揄される。
それを言うなら昭和の時代は大手企業ですらほぼブラック企業しか存在しなかった。
その礎のおかげで今の豊かな日本があるのも事実なはず。
労働者の労働を必要以上に制限する事は、本当に我々の未来に繋がるのだろうか。
過労死=労働時間という方程式を当てはめる事は正しいのか?
万が一、残業時間に怪我や事故でも起きれば、マスコミや世の中はこぞってその企業を非難する。
労働者の権利を守る事は構わない。
しかし過度に労働者の権利を守る事が、グローバルな競争社会に突入している現代で、
この国の未来を導くことになるのだろうか?
大学を出ているのに英語も話せない大企業に勤める現代の日本人は、働き方改革で、定時に出勤し定時で帰り、残業もせず労働時間も減り、勤務日数も以前より少なくなり週に4日間だけ働く。
その会社の隣にあるコンビニでは、新興国から来た留学生が、昼間は学校に通い、夜は深夜までコンビニでレジ打ちをする。
空いた時間で日本の文化や技術を必死に取得する。彼らはアルバイトで得た給料の大半を、自分で使わずに貧しい母国の家族へ送る。
彼らは母国語だけでなく、英語も、日本語も流暢に話す。日本人でも覚えるのが大変なコンビニのオペレーションをきちんとこなす。
日本人と比べて自分達が不公平だとは思っていない。運命と割り切り、いつか自分の国へ帰り、その知識や技術や学問を母国の繁栄や豊かな暮らしに繋げるために、時間を惜しんで身を粉にして働きそして学び続けている。
「何かを成し得る」と考えたときには、
時間を超越した努力や思いが必要であると思うと同時に、それを越えて初めて達成できる領域もあると思う。
それらを美徳とは思わないが、
グローバルでボーダレスになった世界経済の中では、
労働環境の改善を必死に求める日本人に対して、ただひたすらに猛烈に、競争に勝とうと、今の状況を変えようと、日々休みなく努力をしている国々やその国の多くの労働者がいる事を忘れてはいけない。
彼らの努力こそ未来の日本の脅威となる事実を我々はきちんと認識すべきだ。
日本が世界有数の治安国家なのは、教育や歴史からだけではない。
日本が安全なのは、経済的に豊かな国であるからだ。
私は30年後の人々に問いたい。
30年後も、
日本人は優秀と呼ばれているのか?
日本人の技術力は優れているのか?
日本人は真面目で勤勉なのか?
日本は経済でも技術でも世界をリードする国家なのか?
日本は厳しい国際競争力の中で置いて行かれてないか?
30年後の日本は豊かで安全なのか・・・・
次回へ
2020年01月16日付