ゴルフ場運営企業の上場廃止1

日本で唯一上場していたゴルフ場運営会社「アコーディアゴルフ」が上場廃止になります。

ゴルフ場運営会社の多くは親会社が不動産企業だったり、観光事業者であったりする事が多く、 ゴルフ場だけが主業種で運営している会社というのは日本ではあまり多くはありません。
ましてや、ゴルフ場専門会社で上場まで果たしたゴルフ場で残っているのは唯一「アコーディアゴルフ」だけです。

実は私自身もメンバーコースをここに持っています。
「アコーディアゴルフ」を考えていた時に、 プレーヤにとっての上場企業のゴルフ場とはどういうことなんだろう?といつも考えていました。

アコーディアゴルフは元々の出資者であるゴールドマンサックスがアメリカに撤退する際に日本市場で上場を果たしました。
しかしそこから企業としての難しい側面を常に抱えて経営したように感じます。
上場を果たしてから「利益を出す」事と「自社の未来やゴルファー・業界の未来を発展させる」事の両立できたのでしょうか?

ゴルフ場も色々な経営方式があります。
その多くは株式会社です。株式会社の目的の一つは「利益を上げる」事です。
ましてや上場企業ともなれば、株主が世界中に沢山できますので、経営者には「利益を上げて株主に配当を出す」という責務が生じます。
一方で、「利益の捻出という呪縛に拘束されたくない」という考えから、経営の「理念」や「経営方針」にこだわり、 上場しないという選択肢もあります。
有名な所では、「アサヒビール」「YKK」「ヤンマー」「ジャパネットたかた」等です。
超有名企業ですし、売上も会社規模も数千億と大きいですが、上場はしていません。
企業経営の役割として大事なのは、経営理念を中心に考えるのか?利益の創出が一番なのか?
経営者の考え方、企業の置かれている状況や環境で、考えは変わってくると思います。

通常のゴルフ場は、多くのゴルファーにプレーしてもらい、売上から利益を上げます。
その利益を施設・設備・投資資金に充てて運営しています。プレーヤーがもたらした売上をプレーヤーに再来店してもらう為に投資していくのです。
所謂上記で言う、経営の理念(ゴルファーの為のゴルフ場であるべき)という考えに基づきます。


一方で、上場した企業のゴルフ場は、ゴルファーからの売上で利益を上げる事までは同じです。
少々違うのは、利益をゴルファーに還元するのか?または株主に配当として分配するのか?悩ましいところでもあります。
分かりやすく言うと、 利益はゴルフ場に再投資するのか?株主に還元するのか?
難しい問題です。

アコーディアにも勿論経営の理念はありますし、ゴルファーに還元するという考えも当然持っていると思います。
しかし上場企業である以上、株主を無視しての運営は絶対に考えられません。
従って少しでも利益が出れば配当を余儀なくされます。
出資をした株主にとっては、「ゴルフ」というコンテンツはどうでも良く、 「収益を上げる企業」という側面でアコーディアゴルフに投資をしてくれたからです。

「そんな事は無い!!ゴルフを愛している人たちも多くこの会社の株を買っているぞ!!!」
と反論する人もいるかもしれません。現にアコーディアの株主はゴルファーも多いようです。

そんな人に聞いてみたいです。ゴルフ好きな貴方が100万円で株を買うとしたら、
配当が無いゴルフ関連企業にも投資するのですか?
それとも配当が多い、ゴルフとは違う業界の株を購入しますか?

株を購入する事は、「投資」という事です。
株主達はお金を投資する以上「配当」がなければ投資になりません。
株主配当としてのプレー券の配布が停止したら、ゴルファーは株を持ち続けてくれるのかどうかは疑問です。


では、ゴルフ場運営にとって株主の方を向いた経営とは?
具体的にはどういう事だったのでしょうか?
詳細は次回で



次回へ続く
2017年2月22日付


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