ビジネスの資本

経営者として20年以上やってきた。 勿論ビジネスが成功したとは思っていないし、発展途上。 苦労ばかりだし、相変わらず休みも無い。
タワーマンションの景色が良い部屋に住めるわけでも無く、乗ってる車は既に7年目。 気晴らしは、公私混同のゴルフぐらい
まあ、愚痴はこの辺で・・・・

私は未熟な経営者ではあるが、20年も実践でやっていると何となくわかる事がある。

経営学の本や、コンサルタントは難しい事を言うが、 ビジネスの成功を、私なりに最短距離で言うと 「売上と利益が出るスキームがある程度軌道に乗る」という事。

ビジネスが成功したら、その成功モデルをどれだけ大きくするかは、経営者のその後の考え方や行動しだい。 店舗ビジネスであれば、大儲けを考えずに、ストレスも嫌なら、成功した1店舗だけで永遠に営業しても良いだろう。 金持ちになりたい、会社を大きくしたいと考えるなら、多店舗展開を始めるべきだろう。

とにかく自分が始めたビジネスモデルを成功に導かないと次のステップに進めない。 一時的に儲かるビジネスは存在する。1年で1ヵ月間だけ利益が出る事もあるだろう。バレンタインデーのチョコレートの様に。 でもそれではビジネスとして成立しない。残りの11ヶ月をどう過ごせばいい?

毎月利益を出せるビジネスモデル。又は黒字と赤字が交錯しても、1年トータルでは確実に利益が出るビジネスモデル。 そこまで業務フローを構築しないと。成功とは言えないだろう。 しかし現実にはビジネスを成功に導く事が出来るのは10人に1人くらいか・・・・ 今の時代、行列が出来て儲かってると言われるラーメン屋も2~3年で淘汰される。5年間経営できる店は本当に少ない。

ビジネスはテレビゲームと似ている。 ロールプレイングゲームは自分の持ち駒が死んでいく前に次のステージに進まなくてはいけない。 自分の駒を殺さず次のステップに進むと点数が上がり更に駒が増える。駒が増えるほどクリアーする確率が高まる。 一方で持ち駒が全部死ねばゲームオーバーだ。

経営で資本が多いという事は駒が多いという事。その駒で次のステージを突破していく。利益が増えれば駒が自動的に増える。 しかし赤字だと駒だけが減っていく。駒が無くなる(資金が枯渇)すればゲームオーバー。
だからビジネスは駒の数や駒を維持する事、資金(資本)が非常に大事。

ここからが今回の本題。経営学に近い話だが資本の話をしてみよう。ビジネスの成功と資本は密接に関連している。


貴方がレストランを出店する。味には自信がある。コンテンツ(商品の味)は全く問題ないと仮定しておく。 きちんと売上げれば損益は毎月150~200万。利益は30%は毎月残るビジネスモデルを考えた。
・・・・・
自己資金と銀行借入れで。開店資本は1500万。
店舗に厨房設備を入れて、内装を綺麗に仕上げる。設備投資で1000万かかった。
スペースは最低20坪必要。店舗取得費は残り300万。20坪を300万で借りられるのは駅から徒歩10分の住宅街のテナントだった。家賃は20万。

開店後に毎月の売上は100万前後だった。良くても120万。損益分岐の150万には全く届かない。 味は悪くないのでリピータもいる。しかしどの客もリピートは月に1~2回程度。それも地元の住人。新規のお客を呼込むのに更に広告費も掛かる。 毎月30万は赤字が続く。運転資金は枯渇していく。結局1年でギブアップしてしまった。 借金だけが1500万残った。




プロの経営者がやるなら。どうなるだろうか?

・・・・・・
自分の開店資金は1500万。親戚や知人に頭を下げて借入を更に500万円追加した。クラウドファンディングで更に200万集まった。 合計2200万の資本でスタート

店舗維持費と開店広告費等は上記と同じ200万が必要。 店舗に厨房設備を入れて、内装を綺麗に仕上げる。設備投資も上記と同じ1000万。
しかし店舗取得費は今回1000万ある。 スペースはやはり20坪必要。ここが勝負!20坪のテナントを頑張って駅前に借りてみた。駅前はさすがに高い。保証金等で1000万全て使った。 家賃は60万もする。

開店後に毎月の売上は150万前後だった。損益分岐の200万には届かないが、なんとかやっていかないと・・。 リピータも徐々に増えてきた。なにより大きいのが駅前で電車から降りた人が入ってくる。駅前なので新規のお客を呼込むのに広告費は1円もかからない。 家賃は60万と高価で損益分岐は200万とハードルが高いが、駅前で新規顧客は安定して来るし、リピーターが増えて売上は右肩あがりだ。 駅前にある店舗自体を広告費に換算すれば毎月数十万の広告費を出すのと同じ。であるなら家賃60万は広告費も含めれば決して高くない
月商300万を超えたあたりで、毎月60万の利益を計上してきた。その利益額は毎年700万以上にもなる。開店資金の2000万円の借金は4年で完済できた。



極端な例に見えるかも知れないが、これが現実。 商売の成功の可否は、お店の「雰囲気とか、味とか」だけではない。

貴方が通っていたラーメン屋。最近潰れてしまった。 味がまずかったから潰れたのだろうか? まずいラーメン屋に貴方が通ったわけでは無いでしょう?そこそこ美味かったのでしょう?
今のお店はどこもそれなりに美味しいですよ。でも潰れるんです。「経営の成功とは」味とか雰囲気だけでは無いんですよ・・・

上記の2例に話を戻すと、どちらも成功するか失敗するか?結局やってみないと分からない。だから成功と失敗のリスクはどちらも同じ。
資本を多く投入する事で、成功確率を上げて、失敗リスクを抑える事が可能になるかも知れない。それでも駄目な時は何をしてもダメだけど・・
何故、大手ハンバーガーショプや牛丼屋が、経費の安くすむ住宅街でなく、維持費が高い駅前立地にあるのか、これでわかると思う。

如何に資本を上げて、成功する確率を上げるかが重要。 ファンドのような起業投資家は、新しいビジネスモデルに大金を投入する。 資本が多い方が成功率が高い事が分かっているから。

ビジネスをする側も、如何に資本を引っ張るかが大事。 資本が無いと本来成功できるビジネスモデルも、道半ばで頓挫してしまう事もある。

経営者の能力とは、事業家の力とは、どれだけ資本(資金)を引っ張れるかという事でもある。 それは、銀行でも、投資家でも、自己資金でも良い。

資本のお金が無いから、「自己資金のやれる範囲で」というのはビジネスの成功率はかなり下がってしまう。 ビジネスが成功する為には、幾ら必要か?そしてそれをどう工面するか? それが経営のプロの仕事。
集めた資本を適切に何処に配分するか(成功する為には資本予算を何にどれくらい投資すべきか)は経営者としての経験のスキルが必要だけど。
今回は経営者らしい話が出来たかな?
今日はここまで。



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2019年06月07日付

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