喉元過ぎれば熱さを忘れる
ワールドカップ楽しかったですね。
以前のコラムでは日本サッカー協会に懐疑的なコラムを書きましたが、今回は純粋に賛辞を込めたコラムです。
日本はBEST16で敗退しました。
最後に逆転されて、残念な終わり方の様に見えます。
FIFAランキング61位の日本は、3位のベルギーにはやはり勝てなかった・・・
確かに勝てる試合だったかも知れません。
2点目が入った時に日本側は誰もが勝ちを意識しました。勿論見ていた私もです。
ところが予想外の1点を返されたところで、ベルギーは一気にスイッチが入りました。
勝負は守りに入ると難しいという現実。
試合後半のベルギーは、気持ちが守りに入った日本に対して、「日本なんかに負けるわけがない」という殺気を素人の私ですら感じました。
明らかに個々のレベルや技術は互角でした。しかし勢いづいた相手の流れを試合終了まで変えられなかった。
やはり勝負事は、貪欲に気持ちを強くどんな時も責め続けなければいけないのでしょう。
本田選手のようにビッグマウスでは、日本では「謙虚さが無い」と叩かれます。
しかし勝負の世界では、格上相手でも「自分の方が上だ」というような相手を罵倒するような気持ちが大事なのかもしれません。
評論家は口惜しさをぶつけるように、「日本サッカーはまだこの程度」とか「これが世界との壁」とか言っています。
「日本サッカーはまだ世界レベルじゃない」とも言っています。
でも考えてみて下さい。
前回優勝のドイツも予選リーグで敗退です。前々回決勝に残ったオランダや優勝4回のイタリア、スポーツ最強国のアメリカは今回出場すら出来ていません。
日本代表は1998年に初めてワールドカップに出場してから今回で6回連続です。
それも様々な戦術を使いベスト16まで進んで来たんです。
日本代表のメンバーだって、ヨーロッパのBIGCLUBでレギュラーとしてやっている選手ばかりです。他国の選抜メンバーと遜色ありません。
もう十分「強豪国」であると思います。そうでなければ連続6回出場で、その内3回もベスト16に残れませんから。
西野監督は敗戦後に言っていました。「足りないものは何なんでしょうか・・・」
私は今回の敗退で足りないものを無事に手に入れたと思っています。
1993年にドーハの悲劇がありました。私も鮮明に覚えています。
勝てば日本は史上初めてワールドカップに出場。2対1で勝利は目の前。終了間際の後半ロスタイム。
このプレーで終わりという最後のコーナーキックで同点ゴールをイランに決められてしまう。
そこで日本代表はワールドカップ初出場の夢が断たれました。
口惜しさを胸に秘めて行われた4年後の予選で日本代表は初めてワールドカップの出場を掴みます。その後は一つも取りこぼしなくワールドカップ連続出場を成し遂げています。
どんな壁でも乗り越えられない壁はありません。
時間が掛かっても1歩ずつで良いのです。見えないその歩みが実際の成長なんだという事を登頂に成功した時気が付きます。
今回の試合では、最後の負け方に口惜しさが残るかもしれません。
でも日本人だから、口惜しさと、焦燥感は直ぐになくなります。
日本女子が「ワールドカップで優勝」している事、きちんと覚えていますか?
日本ってワールドカップで優勝している国なんですよ!
その時の先発メンバー11人すべて言えますか?そんな栄光の記録ですら記憶の片隅に眠っています。
そのくらいスポーツって熱しやすく冷めやすいんです。日本人は1週間したらもう忘れています。
でもきっとそれでいいんです。
甲子園球児も、負けた試合では「あのエラーが無ければ・・」「あの一球が無ければ・・」「あそこで三振しなければ・・」該当選手は後悔をひきづって生きていきます。
しかしそれも、いつか笑い話と良い思い出に変わっていきます。スポーツの良い所ですね。
選手達には「ご苦労様」とか「良くやった」という労いの言葉では無くてもいいのだと思います。
連日テレビやメディアで取り上げられ、日本代表の試合の日は、朝から落ち着かず、夜中の試合に関わらず、試合前は目覚ましよりも早く起きてしまう。
テレビの向こう側の選手達に自分を投影させて、一つ一つのプレーに一喜一憂する。日常では得られない興奮と希望を与えてくれました。
寝られないくらい興奮した素晴らしい時間をありがとう。私はとても楽しかった。
また4年後もよろしくお願いします。
次回へ
2018年07月05日付