消費者の購買構造の変化
松戸の伊勢丹の閉店が発表されました。
去年は、柏のそごうも閉店しました。
日本の景気は絶好調です。
松戸も柏も千葉のベッドタウンで人口は増えています。なのに閉店です。
百貨店ビジネスの限界なのかも知れません。
百貨店(デパート)ビジネスは、文字どおり「何でもある総合店舗」です。
販売価格こそ定価ですが、最新の情報と、丁寧な接客、非日常性があり、消費者にとっては「買い物が無くてもデパートに行く」というイベント性がありました。
昔のデパートの位置づけは遊園地の様なエンターテーメント施設だったのです。
少々脱線しますが、私鉄(鉄道)の経営にはデパートは必須です。上り下りの鉄道乗車率を上げる為の秘策の一つです。
大学の経営学で習いますが、関西の阪急電鉄創設者の小林一三が考えた鉄道事業の収益構造と言われています。
私鉄の平日の上りの終点には東京や大阪などは大都市があり、通勤客を運びます。
反面朝の下り電車はガラガラになってしまいます。なので学校を誘致して朝の下り電車は学生を乗せます。
土日は、通勤客がいませんので都市部に百貨店を作り買い物客を乗せます。
下りには、遊園地やレジャー施設を作りレジャー客を乗せます。
阪急であれば、上りの終点は梅田や神戸。下りは宝塚。温泉地やあの有名な歌劇団のタカラヅカがあります。
関東の鉄道会社でも東武・西武・小田急・京王も皆これにならって同じ構造になってます。
新宿や池袋の上りの終点には百貨店があり、下りには温泉地や遊園地や観光施設があります。
話が逸れたので鉄道事業ではなく、百貨店(デパート)の話に戻しましょう。
現在は、電化製品も、日用品も、総合スーパーや専門店が格安で販売するので、定価販売のデパートでは買わなくなりました。
百貨店のコンテンツ中心はアパレル中心に変わりました。
30年前のバブル時はDCブランドブームで、バーゲンなどはデパートに長蛇の列ができました。
しかし、今やそのDCブランドでさえ、販売価格が通常期でもバブルの半額以下です。
オンワード・ワールド・レナウン等のアパレル業界の収益が著しく厳しいのです。
従って主力商品をアパレルに頼るデパートも当然厳しくなります。
デパートは地下街の高級食料品販売とブランド服飾販売店というイメージが強くなりすぎました。
お歳暮やお中元をデパートで買うという慣習も無くなっています。
主力商品の衰退がデパートの衰退を招きました。
今後デパートはどこで収益を取ればよいのでしょう?
最高の立地に店舗があるのに、消費者に売れるものが無い。買って貰えない。
百貨店側が提案不足で新しい需要を消費者に喚起できない事が全ての原因なのかもしれません。
今はデパートに限らず、同じものならインターネットで買えます。
デパートの運営は同じ商品でも「高額な家賃や販売人件費」が固定費として掛かりますので、ネットのように極限まで安く売れません。
アメリカで「トイザらス」が倒産したように、店舗販売はネットの価格破壊には到底敵いません。
現在、物を売るという事は、結局は価格訴求になってしまいます。
消費者で値段を見ないで買う人はいないのですから。
またインターネットで価格や商品に関しては比較ができます。
従って、人件費・倉庫代・広告費・家賃等の無駄なコストを究極に省いたネット販売という事になるのは仕方がありません。
今後の店舗での物販は、「物」だけではなく「価値」も売るという事に可能性を見出すしかないのかも知れません。
「世界中でそこでしか売っていない」
「そこで物を買えばオリジナルの付加価値が付いてくる」
「他でも販売している有形な商品ではなく、無形のサービス(技術)」
「店舗自身の高貴なブランドイメージの構築」
「単純に物を買うのでなく、信用できる人が勧めるから買う」
「物+心(購買動機・顧客心理・顧客満足度)」を売るという事でしょうか?
世界中でこの答えを持っている人は、今のところ誰もいません。
答えが分かる人はどうか私に教えて下さい・・・・・
次回へ
2017年9月30日付